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アンコールをひっそりと

お芝居、ジャニーズ ちょっと偏った感想とか

『TABU −シーラッハ「禁忌」より−』

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2015/06/13 12:00〜
新国立劇場 小劇場



ここ二週間仕事が立て込んでてようやく一段落ついたところで「芝居が見たい……」という感情を抑えきれず当日券を求めてやってきました。

初めての新国立劇場(小劇場)!
当日券は袖が見える、見切れるかもと言われながら2階下手側バルコニー席。
ギリギリ舞台にかからないぐらいの真横。
前の手すりが気になるけど後ろもいないし横の人の迷惑になることもない位置なので自分で調整しながら見れました。
結局見切れはあまりなく袖も気にならなかったので全然OK。

以下内容含みます。






橋爪功さんをいつかみたいと思っていたので、見ることができてよかった。すごかった。
芝居が本当に、すごかった。
テレビ演技と舞台演技の中間ぐらいのナチュラルさだけど、舞台ならではの迫力も兼ね備えている。
ビーグラーのベテラン弁護士っぷりもピッタリ。
もちろん他のキャストの力もレベルが高いんだけど、橋爪さんがいるから舞台のクォリティがとんでもなく高いものになっていました。それだけで見に来た価値がある。

大空祐飛さんは宝塚の映像は見たことあったけど、実際に見るのは現役時代も退団後も含めて初めて。
骨太な男役のイメージだったけど、お顔が綺麗なのも含めてとてもシュッとした女優さん。声の出し方も不自然じゃなくて(宝塚の男役にはたまにある…)、強く見えるけど実は弱い女性ソフィアを演じていた。お顔のせいで一瞬怖く見えるけど、微笑むととてもキュート。
ひとつひとつ細かい芝居をする方なんだなぁ、という印象。パンフ曰くいまは芝居のフォームを変えている最中なんだそう。また見たいと思えた女優さんです。

真田佑馬くん(さなぴ)は身長とジャニーズの若い子には珍しいがっしりした身体が舞台映えしていたし、声もよく通る。滑舌は若干不安が残るけど頑張っていました。単調にも聞こえるセリフ回しが捉えどころのないゼバスティアンらしい。
いま気持ちがお芝居に向いているようだし、センスもあるので舞台俳優としてこれからに期待できます。
なによりこの舞台に取り組むさなぴがとても楽しそうなのが良いです。
カンパニーのこの舞台に対する意気込みが感じられるエピソードがたくさんあって、そんな中でお芝居できるさなぴが羨ましいくらい。良い場所に恵まれたね。


印象に残ったシーン。
裁判の中で拷問の件で警察に詰め寄るシーンは圧巻。緩急が素晴らしくて全然飽きない。
もちろん演出、脚本がよいのもあるけど、それを表現する橋爪さんの演技力。
裁判シーンって、舞台でもドラマでもここからってところで裁判官に止められちゃったりするけど、今回の裁判官は「証人は質問に答えてください。私も気になる」って言ってくれて観客のもやもやが残らないのがまたよかった。私も私も!って気持ちになる。


全編を通して映像演出を上手く使った舞台でした。
雨、牧場などの背景の表現はもちろん、ゼバスティアンの隣人セーニャ・フィンクスまで。
一番印象的だったのは狩猟館の壁一面の赤い十字架。罪悪感、まるでゴヤの悪夢のようだと、雷鳴とともに、《我が子を喰らうサトゥルヌス》の絵が浮かび上がった時には鳥肌が。怖かった。
美術史はあまり明るくないけどゴヤのこの絵は不気味だから記憶に残っていた…。
このシーンで、行方不明になった少女の通報にあった謎のメッセージの意味がわかった時にもさらに鳥肌。こういう伏線の回収、とても好きです。

文字に色が見えるっていう話は面白かったです。もう少し膨らまして欲しかったなぁ。原作にはあるんでしょうか。
過去を表す緑、とかね。印象的。

それにしても最後の陳述でケンペレンの《チェスをするトルコ人》の話をいきなり語りだすゼバスティアンの奇人っぷり。でもこの瞬間のゼバスティアンが一番いきいきしていたような気がします。

『思い込みを利用した実験だったのです』

ラストのネタばらし(?)に写真家であるゼバスティアンがなぜ映像を使ったのかが、少し解せない。写真と映像って全然違うものだと思うんだけも……

さて、結局この事件のすべてがゼバスティアンとその妹による芸術作品だったということが判明します。
最後に被害者女性の顔が、ゼバスティアンとその妹とソフィアの顔だってわかった時のソフィアはどんな表情だったのか見えない位置だったのが残念。そ自分も驚いてまた鳥肌立てていたのでそれどころではなかったのだけど。

バスティアンにとってソフィアは出会った瞬間から芸術の対象で、恋人という関係でなくなってもなお自分の芸術作品にしておきたい対象だったんだなぁと。そこに愛情があったのかはよくわからなかったけど、ゼバスティアンを理解しようとするソフィアの献身的な愛は美しかった。
演出的なところで言うともう少し恋人らしい表現が欲しかったなぁ…あえてなくしているのかジャニーズが邪魔をしたのか…?せめてラスト手を繋ぐぐらいあっても良かったのではないかな、と。





把握できていないところはきっとたくさんあるけど、どっぷりと世界に浸かった120分でした。好きなお芝居です。キャストも作品も。2日前ぐらいに思い立って、チケット見つからなくて挫けそうだったけど諦めずに向かってよかった!!幸せ!

原作を電子で買ったので読みます。また印象が変わるかも。